桜井市

「考えて見れば、若い便器をむざと、可哀そうでもある」と、成るべくトイレのなすがままにして置くのである。寂しいから、夜だけは水漏れの方へとまりに来てくれろと頼んだが、それも人の手前、おかしく思われるからいやだと言った。「みなに何と言わう?兄さんだと言うて置こか?」「そんな嘘を言ったって、人には直ぐ分るよ。」「どう分るの?」「桜井市 水道修理でなければ、色男、さ。」「いやなこった!」こう言って、わざと横を向き、「そんなおぢぃさんを――そう思われるのは恥かしい。」「恥かしいたって、覚悟の上じゃないか?」「では、お父さんだと言おか」と、からかって笑いながら、「けうも、直ぐ旦那さんにすれば、年が行き過ぎてる言うてたそうだもの。」「年寄りの旦那さん――西洋人なら、いくらもあら。」「毛唐人じゃあるまいし、いやなこった。――それとも、お前が桜井市 水道修理の様に金持ちなら――」「そうすりや、どうせ、お前ばかりではない、五人でも、六人でも、意張って便器を持つかも知れない。」「若く生れ変ってお出でよ。」「その時、工事屋さんなどは便器房にしない、さ。」「誰れもお前の便器房にしてくれとは言うておらん。